FC2ブログ

期限の利益の喪失の英語

期限の利益の喪失とforfeiture of benefit of time

契約書の翻訳をしていると、10の契約書のうち、8つくらいの契約書には入っているフレーズに、期限の利益の喪失、というのがあります。これの英語は、僕はforfeiture of benefit of timeと訳しますが、ある翻訳者がこの期限の喪失をどう訳すかで、彼が「直訳派」か、「意訳派」かが分かります。

期限の利益とは、例えば返済期限12月31日で100万円の借金をしたとき、この期限12月31日までは、例え貸主が、期限でない9月頃に、「あ、ごめん、予定が変わったので半分の50万円だけでいいから今返してくれない?」といったとしても「やだよ」といえる利益、すなわち全ての債務は期限が来るまでは何ら履行する義務がない利益をいいます。

ところが、例えばこの借金の利子として毎月月末に1万円を支払う契約をしていたとき、仮にこの利子を月末に支払わなければ、「契約違反」となりますが、このような契約違反が起こったときには、この「期限の利益」を失ってしまう、すなわち、元本の100万円を当初の返済期限の12月末まで猶予することなく直ちに返済しなければならなくなる、ということが取り決められることがあります。これが、期限の利益の喪失です。

英米の契約書ではこういう風に借金の返済期限が早まることをローンのrepayment(返済)のacceleration(繰上げ、あるいは加速)と表現することがあります。従って、期限の利益の喪失を翻訳すると、acceleration、又は動詞ですとaccelerateと訳すことができますが、この英語には「加速」という単語は入っていますが、どこにも期限も利益も喪失も入っていません。従って字面的には日本語とは全く違う表現になっていますので、これは日本語の意味に最も近い一般的な英語の表現で表わすとこうなる、という「意訳」主義者の翻訳になります。

日本語の「期限」「利益」「喪失」というキーワードに忠実に英語に変えようとすると、forfeiture(喪失) of benefit(利益) of time(期限)となります。単語の順番が前後しているのは、日本語と英語の基本的な語順の違いです。

最初に述べたように、僕は期限の利益の喪失はたいていの場合、forfeiture of benefit of timeと訳しますが、それは僕が直訳を原則的な主義としているからで、どちらが正しい、誤っているというものでもありません。ただし、forfeiture of benefit of time という表現でグーグルすると、アメリカ等で作成された契約書でこの表現を使用しているものはほとんど見つかりませんので、アメリカ人などが日本語の契約書の翻訳の読者である場合、forfeiture of benefit of timeの訳では意味が通じにくいというきらいはあるでしょう。

期限の利益の喪失forfeiture of benefit of time (直訳)または、acceleration(意訳)

翻訳のサムライ


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

translators

Author:translators
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
Google+