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抵当権の英訳

翻訳ブログ、抵当権の翻訳

契約書を和訳すると、抵当権その他類似の用語がたくさんでてくることがある。一概に、英文の契約書は漏らしがないようにとの配慮からか、同義語、類似語がくどいほど使用されていることが多い。例えば、同義語を3つくらいならべてあるので、和約では1つの日本語の単語でいえばそれ1つで用を足す場合などがあるけれども、もともとの英語が3つ単語が並んでいればそれに対応する日本語も3つあってしかるべしと考えるのはしごく当然のことであり、したがって、なんとかこの3つの単語それぞれに最も対応する日本語を当てようとするのが翻訳者の職人技になる。

そこで、抵当権。日本語にも抵当権に類する単語として抵当権の他に担保、保証などがあり、また類似、関連するコンセプトの用語として地役権、先取特権などがある。

さて、借地権の英訳のところで述べたとおり、地上権は登記簿に登記されるのが普通である。なんのために登記簿に登記するかというと、権利を確実にするためである。これを契約書等では第3者に対する対抗要件の具備などと表現し、英語では簡単にperfectionと英訳することが多い。つまり、登記簿によって権利が発生するわけではなく、すでに成立した権利を第3者に対しても主張できるように完全にする(perfect)役目である。(すこしややこしいが、では登記されていれば逆に登記されている権利は必ず保護されるかというとそうではない。実体のない登記は無効である)

登記簿には土地登記簿と建物登記簿があるが、以下はとりあえず土地登記簿を前提としよう。登記簿には表題部、甲区、乙区の3つの部分に分かれているが、所有権(ownership)が甲区、乙区には所有権以外の権利が記載される。所有権以外の権利とはすなわち、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権の8つ(甲区の所有権も含めれば9つ)である。物権は債権とは異なり、当事者間で任意の権利を創設することはできない。物権は民法そのほかの法律(制定法)で定められたものおよび慣習として裁判所が認められるほどに定着したもの(慣習法)に限定される。中でも登記簿に登記できるのは上記9つであり、なお、民法で法定されている物権のうち入会権と占有権は登記の対象にはなっていない。

このうち、担保物権は抵当権、質権、留置権と先取特権である。用益物権は地上権、永小作権、地役権、採石権である。

不動産の関連の英文契約書で出てくることが多いのをいくつかあげてみると、
ownership, freehold (interest)などは所有権。アメリカではfee simpleという。
地上権(right of superficies)および物権ではないが土地の賃借権(以上2つをあわせて借地権)は、先日のブログで既述したとおり。

encumbranceは、動詞のencumberとともに非常に頻出度が高い。辞書(小学館ランダムハウス)には、負担、債務、制限が当てられているが、日本語では分かりにくい。encumbranceは、所有権を制限する一切の権利、義務をいうようであり、あらゆる担保物権、用益物権、あるいは所有権を制限するならその他債権、債務さえも含める広い定義のようである。したがって日本語にはピタッと1語であてはまる用語はないように思われ、文脈に応じて臨機応変に適切な日本語を探して当てることになる。

mortgageは、日本の民法のセミオフィシャルな英語訳の中で抵当権に当てられているので、安全に抵当権と訳すことができる。ただし、日本語の抵当権は所有権は残したまま債務不履行のときに抵当権が設定された土地などを売却するなどの処分権を抵当権者に付与するものであるのに対して、アメリカのmortgageはmortgagee(抵当権者)に所有権をいったん譲渡しておくということをアメリカ人から聞いており(※聞いた話なので真偽のほどはご自分で確認ください)、これが事実であればこの特徴だけからいえばmortgageは抵当権というよりも譲渡担保と訳すべきかもしれない。

pledgeは、質権と訳すことにほぼ問題がない。ただし、質権は質権者が担保として質物を留置することになるので留置することが容易でない不動産にはあまり用いられない。質権が多用されるのは有価証券、債券の他、比較的高価な動産などである。

collateralsecurityは特に債券などの契約書によく登場する。担保と考えていいと思う。securityは状況により(物上保証人に参照する場合など)保証と訳した方が分かりやすこともある。chargeという用語も登場することがある。これも名詞の場合は担保と訳している。

Easementは、地役権。電力線の下の土地などに関して出てくることが多い。一定の目的に従って他人の土地を自己の土地の便益に利用することができる権利で、他にright of way(通行権)などもでてくることがある。これは用益物権である。

right of retentionは、留置権。一定の条件を満たせば当然に発生してくる法定担保物件である。これは私の経験では英文契約書にはあまりでてこないので、むしろ日本の留置権の英訳かもしれない。

lienは非常によくでてくる用語だが翻訳者泣かせの英語だ。辞書では「先取特権」と出てくることが多いが、文脈から判断する限りかなり違うような気がする。リーエンとカタカナで表示する翻訳者も多い。対応する日本語がない場合はカタカナにするしかないので、「リーエン」というカタカナにするしかないのかもしれないが、リーエンと書かれて意味が分かる人はあまりいないだろうから、リーエンと訳して解決したとも必ずしもいえない。日本語ではリーエンという単語はあまり定着していないから。日本でいう先取特権はこれも上述の留置権同様法定担保物件で、特殊の債券を有する者について法律によって付与される優先弁済を受ける権利である。不動産でいえば、例えばビルの建築会社が倒産した時、建築材料の債権者はその建物について他の一般債権者に優先して先取特権がある、とか。先取特権が付与される債権については、すべて法律で細かく規定されている。
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