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インハウス翻訳者募集

福岡でインハウスで働ける日英翻訳者又は英日翻訳者募集

あまり知られていないことかもしれないけれど、翻訳会社のビジネスモデルはわりと難しい。

翻訳会社は、英語では「エージェンシー」と呼ぶ方も多く、つまり翻訳者側から見れば、「翻訳者紹介所」といった感覚があるほどで、つまり仕事のキーの部分は個々の「翻訳者」の腕に頼っている(と思われている)わけで、従って、クライアント様からいただく翻訳料金の価値の多くの部分が翻訳者さんの生産性つまり稼ぎということになります。

認知度の高い、即ちブランド力のある翻訳会社なら十分な価格で受注して、フリーランスの翻訳者を中心とした翻訳者に翻訳の原稿作成を発注して翻訳品を仕上げ、会社の費用その他をまかなっても余りある利益がだせるという体制が作れるわけですが、ブランド力あるいは販売力が未熟な小規模の翻訳会社では、フリーランスの翻訳者さんに原稿を作ってもらうと、「紹介料」程度のマージンしか確保できず、へたをすると原稿の校正、修正、書き直しなどをしているうちに簡単に赤字に陥ることがあります。しかも品質を大切にすればこの校正、修正、書き直しは大変な作業量になります。
(※但し、弊社では機密性などの理由から、クライアント向けの翻訳は全て私を含む社内の翻訳者で翻訳する方式をとっています。この方式では品質の安定度が高まります)

私は翻訳会社を運営してから8年ほどになるわけですが、基本自分自身は翻訳者をなりわいとして出発しており、自分ひとりでする翻訳の量にはおのずと限界があるので、事業規模を広げるために他のスタッフの人と仕事をするスタイルとなったという経緯があります。またどんなに注意して文書を作成しても人間の常として書き間違えなどミスが発生してしまうので、自分の作成した原稿をチェックをしてもらうために複数の第3者が必要だったという背景もありました。

個人的に翻訳者として仕事をする量というのは、各人それぞれ受注単価と作業スピードによってかなりのぶれがあるものと思いますが、自分の作業スピードで勝手に判断すると、個人の翻訳者としてはひとり月に100万円くらいの売上が限界なのではないかと思います(非常にざっくりと言った数字です)。作業量と作業単価は翻訳する言語ペア及び個人の作業スピードと仕上がり精度のバランスによって変動しますのでひとつのモデルの例としてざっくり言うと、例えば、1日の作業量がソースベースで2000単語、単価が20円で4万円、25日稼働して=100万円。

つまり、翻訳で月に100万円以上の仕事をさばこうとすると、当然に会社として組織して多くの方に手伝ってもらいひとりではとても作業しきれない多くの翻訳品を仕上げるという選択をせざるをえなくなるわけで、しかしながら、翻訳は受注してから商品を作成する請負仕事で作り置きもできないので、仕事が増えて売上が増えると支払いもそれに「比例」して増大し、むしろひとりで100万円だけを売り上げているよりも苦しいような状況に陥ります。これは、翻訳者(会社)のパラドクスといっていいでしょう。ある程度の規模になるまでは仕事が増えるほど運営が厳しくなることがよくあるというパラドクスです。このパラドクスから抜け出れる閾値(threshold)の売り上げがいかほどになるのか、興味のあるところですが、それほど低くはないというのが感想です。

人間は過ちをするのが常ですので、瑕疵のない翻訳品を制作するためには翻訳会社の機能は非常に重要で、社内の翻訳者又はフリーランスの個人翻訳者のあげた原稿を表から裏から見直しして完成品に仕上げるための翻訳会社の作業量と付加価値はかなり重要です。しかしこの辺のところは実際にその仕事をやっている人以外には十分に理解されにくく、過小評価されがちです。過小評価すなわち価格に織り込むのが難しいという現実があります。

さて、翻訳の仕事は数年前の金融危機(リーマンブラザースの倒産後の不景気)前の状態にやっと戻ったという気がします。仕事は増えている訳ですので、社内で日英翻訳、英日翻訳を仕上げる翻訳者、あるいは翻訳者の仕上げた原稿を校正したり、修正を加えたりする校正者がより多く必要になります。

福岡で翻訳会社のインハウスの翻訳者又は校正者として働ける方いらっしゃいましたらこのような難しいビジネスモデルの中にありながら仕事としてはなかなかにやりがいのある役割で汗を流す経験をしてみるのはいかがでしょうか。

翻訳のサムライ
永江
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テーマ : 翻訳 - ジャンル : ビジネス

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