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戸籍謄本の翻訳

戸籍謄本、いえ全部事項証明の進歩

昔、戸籍謄本と読んでいた書類、実はもうありません(下記に詳述されるような状況により市町村により例外あり)。

翻訳のサムライでは戸籍謄本の翻訳を昔から随分たくさん取り扱っておりますが、平成6年法務省令第51号附則第2条第1項という省令がでて(市町村長は、昭和三十三年四月一日に改製の事務に着手し、すみやかにこれを完了しなければならない。)、以前戸籍謄本と呼ばれていた書類は順次(順次、というのは、この改製の事務の完了時期は各市町村の実情に合わせて不定期になっているため)従来の戸籍謄本のデータを電子化データに「改製」しています。まだ改製がすんでいない市町村も少数派にはなってきましたがなおかなりあります。

自分の家族員全員のデータ、すなわち従来の戸籍謄本に対応するデータの謄本を申請すると、「全部事項証明」という書類が発行されます。自分だけのデータなど、家族の一部のデータ(従来戸籍抄本といわれていました)を申請すると、「一部事項証明」という書類が発行されます。

さて、この新書式の戸籍に移行する前の戸籍を一般に改製原戸籍(カイセイハラコセキまたはカイセイゲンコセキ)といいますが、今回の平成6年の省令により移行したものは「平成改製原戸籍」といいます。なお、この移行にあたり、一定のデータは新しい文書には転記されていないので、注意が必要です。遺産の相続人の確定、その他の目的(永住権、配偶者滞在のビザ申請なども含む)で戸籍が必要な場合、全部事項証明には含まれていない事実の証明を必要とする場合には改製原戸籍もあわせてとる必要がある場合があります。たとえば、カナダの永住ビザ(配偶者、フィアンセなどのためのファミリークラス)では、申請書類の一部として全部事項証明書と改製原戸籍の両方をはっきり明示して求めている機関もあります(まだ戸籍の電子化が実施されていない市町村では今でも従来の戸籍の様式を用いており、このような場合は全部事項証明書はないので、戸籍謄本だけで済むことはもちろんです)。

さて、この全部事項証明書、コンピュータ化されているのでいろいろな可能性を秘めています。様式面で言うと、表示の仕方のフレキシビリティ。たとえば、英語の単語をデータベースに入れれば、簡単に全部事項証明英語化ができそうです。

英文全部事項証明個人事項証明が発行してもらえる市町村がある、という噂をきいたことがあります。神戸とか。もし「あ、私英文の全部事項証明書発行してもらいましたよ」という経験に基づく確かな情報がありましたらぜひ知らせてください。

戸籍謄本の翻訳をよく依頼される私としては、全市町村で英文全部事項証明書が導入されるとなんとなく好きなこの分野の翻訳がなくなるのは少し寂しい気もしますが。

筆責:翻訳のサムライ主席翻訳者永江俊一
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テーマ : 翻訳 - ジャンル : ビジネス

預金通帳の翻訳、イギリスのワーキングホリディ

ワーキングホリディビザ申請用預金通帳翻訳

ここ2、3年、年末から年初にかけて証明書翻訳のうちイギリスのワーキングホリディ(ユースモビリティプログラムTier5)のビザ申請用の預金通帳の翻訳が多量に発生する。ビザ申請の期間として特に区切られているわけではないが、このカテゴリー(ユースモビリティプログラムTier5)で発行するビザの総数に上限があり、ほとんど先着順になるので、新年度のビザ申請が始まると同時に一斉に申請が集中する。去年は1月中旬(確か1月18日だったような)ですでに申込が終了したというすさまじい状況である。(ビザの発行の年度は1月から12月の1年間。ビザ申請は1ヶ月くらい前に行われるので、12月から申請のシーズンが始まる)

さて、この短期的な受注の波に対応するため、翻訳のサムライでは通帳翻訳専用の情報サイトであるホームページを開設した。今後情報を充実させていく予定である。翻訳のサムライのワーキングホリディ情報提供サイトのURLアドレスは次のとおり。

http://www.yms-tier5.com

価格4,200円、翻訳証明書つき、翻訳品はレターパック500で郵送しますので日本の主要都市では翌日に配達されます。郵送状況の追跡番号があるので安心です。(レターパック500は基本的に手渡しなので、配達が確実です。不在時には郵便局に持ち帰りになるので、電話などで再発送を手配するか、郵便局で引き取りしてください)

なお、イギリス留学に関するビザ申請通帳翻訳には通帳の取引明細部分も含めて英語に翻訳する必要がありますが、ワーキングホリディ(ユーズモビリティ)のビザ申請に関しては、銀行名、口座番号、口座名義人の氏名などが記載された通帳のいわゆる表紙部分だけの翻訳でよいことになっています。

ワーキングホリディ通帳翻訳翻訳のサムライ

翻訳業のいきつくところ(翻訳の報酬)

翻訳業の行きつく先、レート

翻訳は、矛盾したように聞こえるかもしれないが、楽(たの)しいけれど、楽(らく)ではない。
翻訳には小説なんかの翻訳がありこれを一般に文芸翻訳というが、僕がするのは産業翻訳、従ってここでの話題は全て産業翻訳の話し。

僕の翻訳の報酬は、内容によってもちろん違いますけれど、典型的には、英語から日本語への英日翻訳で元の原稿英語1単語あたり20円、日本語から英語への日英翻訳で元の原稿日本語1文字あたり15円くらい。単価が駄菓子の値段みたいな小さい単価なので、翻訳にたずさわらない人にはイメージしにくいかもしれない。どんなもんかといえば、例:
This is an apple.⇒これはリンゴです。これは、英日訳、4単語で80円。
これはリンゴです。⇒This is an apple. これは、日英訳、9文字(カウント機械の都合上、読点も数えてしまいます)で135円。
ただし、実際にはこんな短い翻訳は受けませんし、こんな簡単な文章を依頼されることはありませんので、このような文章を翻訳することはありませんし、請求額がこんな小さな金額になることはありません。あくまでもカウント上の説明です。念のため。
A4の普通の原稿で、1ページに文字が900文字くらいあるのが平均的なので、これを英語に翻訳すると1枚900文字x15円で、13,500円。英語だと、平均的に1ページに500単語くらいあるのでこれを日本語に翻訳すると、500単語x20円=10,000円。

例えば、英日の翻訳で、原稿が100ページあると、10,000円x100枚=100万円という塩梅になります。数字にさとい人はすでに気づいたと思いますが、日英の翻訳の方が、高い報酬になります。またスピードの方も、英日に比べて日英の方が、漢字の変換などがなくダイレクトに半角英字で入力できるので出力が早く、この点からも報酬効率は高くなります。従って、なるべくは日英の翻訳を受注するように嗜好します。もちろん英日の翻訳も需要はあり、楽しいので受注しますし、単価1単語20円であれば、やりがいはあります。

ところが最近、レートの値崩れということが巷で話の種になることが多く、事実僕の翻訳も、1単語20円から値下げをすることが多くなりました(特に、100ページ、200ページとかの大量の翻訳の場合。大量の文書は、平均翻訳スピードがはるかに上がるので、かなり単価を下げても、1日当たりの平均収益は落ちるどころか上がるのが現実としてあります)。翻訳者協会の他の翻訳者の話を聞くと、1単語6円とか7円とかの話しを聞くこともあります。これでは収入が3分の1とかに減り、専門的知識と能力を持ったプロとしての職業としては、報酬的にさびしい話になり、やっていられません。

翻訳スピードですが、僕は翻訳ソフトを使いません。全て手作業で翻訳します。従って、当然翻訳の処理量は機械を使って翻訳するよりも少なくなります(翻訳機械とは、トラドス、ワードファーストなどの翻訳支援ソフトを指します)。最近では、翻訳支援ソフトを使用して翻訳するのが定番になってきつつあり、僕のような「職人」的な手作業の翻訳は単価がある程度に維持されないと十分な収益が確保されないのですが、翻訳支援ソフトが前提になってくると、平均的な処理スピード、あるいは前提とされる翻訳処理量が増大し、必然的に単価の市場価格は下がってくることになります。そういう訳で、今後将来的に翻訳者としては2つの選択を迫られることになります。

1.翻訳支援ソフトを基礎にした翻訳者に変化(進化あるいは退化)する
2.翻訳を業とすることから生業を異業種に乗り換える

さて、僕はどうするかは、また後日の話題。僕は職人技を磨くことが楽しいので、翻訳支援ソフトにはあまりなじめそうにありません。

公文書翻訳、翻訳のサムライ

期限の利益の喪失の英語

期限の利益の喪失とforfeiture of benefit of time

契約書の翻訳をしていると、10の契約書のうち、8つくらいの契約書には入っているフレーズに、期限の利益の喪失、というのがあります。これの英語は、僕はforfeiture of benefit of timeと訳しますが、ある翻訳者がこの期限の喪失をどう訳すかで、彼が「直訳派」か、「意訳派」かが分かります。

期限の利益とは、例えば返済期限12月31日で100万円の借金をしたとき、この期限12月31日までは、例え貸主が、期限でない9月頃に、「あ、ごめん、予定が変わったので半分の50万円だけでいいから今返してくれない?」といったとしても「やだよ」といえる利益、すなわち全ての債務は期限が来るまでは何ら履行する義務がない利益をいいます。

ところが、例えばこの借金の利子として毎月月末に1万円を支払う契約をしていたとき、仮にこの利子を月末に支払わなければ、「契約違反」となりますが、このような契約違反が起こったときには、この「期限の利益」を失ってしまう、すなわち、元本の100万円を当初の返済期限の12月末まで猶予することなく直ちに返済しなければならなくなる、ということが取り決められることがあります。これが、期限の利益の喪失です。

英米の契約書ではこういう風に借金の返済期限が早まることをローンのrepayment(返済)のacceleration(繰上げ、あるいは加速)と表現することがあります。従って、期限の利益の喪失を翻訳すると、acceleration、又は動詞ですとaccelerateと訳すことができますが、この英語には「加速」という単語は入っていますが、どこにも期限も利益も喪失も入っていません。従って字面的には日本語とは全く違う表現になっていますので、これは日本語の意味に最も近い一般的な英語の表現で表わすとこうなる、という「意訳」主義者の翻訳になります。

日本語の「期限」「利益」「喪失」というキーワードに忠実に英語に変えようとすると、forfeiture(喪失) of benefit(利益) of time(期限)となります。単語の順番が前後しているのは、日本語と英語の基本的な語順の違いです。

最初に述べたように、僕は期限の利益の喪失はたいていの場合、forfeiture of benefit of timeと訳しますが、それは僕が直訳を原則的な主義としているからで、どちらが正しい、誤っているというものでもありません。ただし、forfeiture of benefit of time という表現でグーグルすると、アメリカ等で作成された契約書でこの表現を使用しているものはほとんど見つかりませんので、アメリカ人などが日本語の契約書の翻訳の読者である場合、forfeiture of benefit of timeの訳では意味が通じにくいというきらいはあるでしょう。

期限の利益の喪失forfeiture of benefit of time (直訳)または、acceleration(意訳)

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