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翻訳者と翻訳の販路

翻訳者専門性

ひとことに「翻訳」と言っても、その仕事内容は千差万別です。まず、「産業翻訳」と「文芸翻訳」という大きな区別ができる。映画の字幕などの翻訳は、特殊だけれどここでは「文芸翻訳」の中に入れておきましょう。

翻訳者を意味する単語として、「翻訳家」といういいようがあるけれど、「翻訳家」というのは、ほとんど文芸翻訳に携わる翻訳者を指し、産業翻訳者を「翻訳家」ということはほとんどない。一般的なイメージでは「翻訳」というと、「文芸翻訳」を考えることが多いようだが、私を含め、文芸以外の翻訳を業としている人がたくさんいます。

文芸翻訳は、買い取り方式と、印税方式とがあるらしく、買い取り方式だと、1作品の翻訳一式で○○万円、ということになり、印税方式だと、販売された翻訳作品1冊あたり○○円、という契約になる。印税方式は、何十万冊とか売れる翻訳本を翻訳すれば高い報酬になりますが、売れないときのリスクが翻訳者にかかることになります。そして、経済原理からいえば、売れる可能性が少ない原作ほど印税方式で請け負わされる可能性は高い、といえそうです。小説家などすでにネームバリューがある翻訳家などを除いて、文芸翻訳で稼ぐのは大変、というのが定説のようです。私は、産業翻訳者なので、ここら辺の情報は文芸翻訳家にゆずりたいと思います。

さて、産業翻訳の方では、翻訳する原文の種類は千差万別です。原文は、たいていの場合、自国語で読んでも意味が分からないような、非常に専門性の高い内容であることが普通です。というのは、翻訳料は決して高くはありませんので、例えば手紙とか、新聞記事とか、誰が読んでも分かるような一般的な文書を高い翻訳料を支払って翻訳を依頼する人、企業は(特別な場合を除いて)普通いないからです。

そこで、原文の書いてある言語(業界ではソース言語といいます)の意味を正確に読み取り、それをまた翻訳すべき言語(業界ではターゲット言語と呼びます)で正しい用語で表現するには、書かれている分野についてのかなり深い知識が必要になります。そこで、翻訳者は普通専門分野、というものを持ちます。例えば、医薬専門、とか、金融専門、とか、電気専門、といった具合です。

そこで、翻訳をめざす人からしばしば沸き起こってくる質問は、翻訳者になるには、その前に一定の業界で仕事をしてその専門知識を得なければ翻訳者になるのは無理なのか、あるいはまた、翻訳専門分野はどうやって決めるべきなのか、ということです。

これは難しい問題ですが、私の考えとしては、翻訳者になるために一定の業界で仕事をする必要は特にはない、また、翻訳の専門分野は、あらゆる分野の翻訳を受けていくうちに、おのずと特定の分野に落ち着いていくので、注文が来る限りあらゆる分野を探検し、自分で特に事前に専門分野を決める必要はない、というものです。

翻訳者は、翻訳がプロなのであって、例えば医薬専門の翻訳者は、医者ではないし、医者である必要もない。医者が通常用いる用語を理解できる程度までの知識を得ればいいのであって、医業を行う経験と知識は必要がない。依頼される文書は難しい用語や表現が使ってあっても、グーグルで関連文書を探すなどして、調べ上げれば、なんとか書いてある内容を理解する程度までの知識は得ることができるのが普通です。請け負った書類に関連するものごとを調べて浅く広くいろんなことを知るようになるのは翻訳者の楽しみ、だいご味の一つでもあります。いろいろな文書を受けて翻訳しているうちに、自分の履歴、知識などに応じて頻繁に依頼される分野が形成され、また自分が最も生産性をあげるために進んで受注しようとする分野が定まってくるものです。

このために重要なことは、自分の過去に就業した業界を含め、履歴を明白に表示し、過去の翻訳例などを広く開示することだと思う。これを明確に示している限り、自然に自分に最適な分野の依頼に集中してくるはず。

ひとつ注意すべきことは、このとき翻訳需要を意識しておくことである。例え自分が得意とする分野でも、翻訳需要がほとんどない分野、またあったとしても価格が極端に低い分野などに自分の仕事を誘導することは賢明ではない。職業である以上翻訳者としては、単価が高く、量がたくさん処理できる翻訳を業とすべきであるから。

なお、このなるべく高い単価の仕事、という観点から付言すると、翻訳の仕事はできる限り川上からとりこむこと、すなわち、なるべく翻訳を必要とするクライアントから直接発注を受ける算段をすることが重要です。例えば、エンド・クライアントがソース言語1単語30円支払って翻訳会社Aに発注したとしても、それを翻訳会社Bが20円で下請けし、翻訳者Cが12円で一括請負い、フリーランスの翻訳者であるあなたが仮に1単語7円で孫請けしたとしたら、エンド・クライアントから遠い川下の価格的に圧縮された仕事をすると、それはプロの仕事に対する十分な報酬にはなりえないからです。では、その算段をどうやってするかについたは、また後日の話題。

永江俊一
翻訳のサムライ
http://www.translators.jp



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